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縄文人に見る “祈りと感謝” の精神文化〜その5〜

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

果たして弥生時代が始まり、そして、縄文人はどうなったのか。

このあたりの経緯を、「縄文人に学ぶ」を著した上田篤氏が興味深い仮説を展開している。

上田氏の仮説によると、「記紀(古事記・日本書紀)」を読むとよく分かるというのである。

前述の大陸から逃げのびて来た渡来人が北九州、瀬戸内海そして大阪、奈良まで侵攻して大和政権をつくったと思われる経緯が「記紀」に書かれているという。縄文時代は、ネットワークで結ばれた色々な部族が存在しており、融合した部族、服従させられた部族、僻地へ逃れた部族、戦い続けた部族などが存在していたという。ちょっと長い引用となるが、読み終えてみると「なるほど!国生みの経緯がわかった」と合点がいくことが多々ある。以下、引用します。

“記紀にある「イザナギとイザナミの神話」の二人の行動を見ると、男のイザナギは弥生人または古墳人に、女のイザナミを縄文人に置き換えてみると納得のいくことが多い。たとえば二人が「天の御柱」をまわって出会い、イザナミが最初に声をかけたら不具の子が生まれた。そこで天の神に伺いをたてたら「女が先に声をかけたのがよくない」と言うので、改めてイザナギが最初に声をかけたら、無事、国生みができたとされる。これを縄文の母系制社会から、弥生または古墳の父系制社会への移行と見ることができないだろうか?少なくとも、女性がリードしていた社会から男性のリードする社会への動きと見ることはできるだろう。またイザナギとイザナミの国づくりの最中にイザナミは火の神を生んで死に、黄泉比良坂(ヨモツヒラサカ)の奥の黄泉の国へ帰ってしまうが、その比良坂のヒラはヒラ族にも通じる。今日でも、イザナギ、イザナミを祭る加賀の白山ヒメ神社の山上に平坂、山下に平河、河口に平加という町があるからだ。加賀にはヒラのつく地名が多くあるため、ヒラ族の根拠地とみられ、そのヒラ族はヒナ族すなわちエミシであり、縄文人と考えられる。イザナミは縄文人と思えるのである”。

もちろん、以上は、上田氏の仮説ではあるが、この仮説を「縄文から弥生時代、さらに古墳時代にいたる物語」と見ると、なかなかである。また、上田氏は、「記紀」や「風土記」などにたくさん出てくるツチグモ、クズ、クマソ、コシ、エミシ、ハヤト、アマ、キ、イズモなどの先住民は縄文人と解釈できるといい、ツチグモ、クズ、クマソ、エミシなどは反抗して殺され、コシ、イズモ、キなどは僻地に封じ込められ、ハヤトは服従させられ、アマとは通婚しているという。また、奥州平泉の藤原一族のように1700年も抵抗し続けて滅んだ縄文人もいたというのである。そしてさらに日本国家の基幹産業として稲作の重要性を認識し稲作国家建設を推進したのはアマテラスだったという。

つまり、今日につながる日本社会のカタチをつくったのはアマテラスであり、そのアマテラスが「天の岩屋戸」に隠れたとき、彼女を呼び戻すために人々が用意した品々は、シカの骨にせよ、サクラの皮にせよ、勾玉にせよ、縄文人の日常品だった。それら縄文人の使った品々の多くがその後の日本社会にも残ったし、いまなお多数存在しているのである、と”。

日本文明の根幹には、縄文時代以来の文明のエートス(特質)が巨大な潮流として存在している。弥生時代の稲作文化も、古墳時代の文化も、安土桃山時代の南蛮文化も、そして明治以降の近代ヨーロッパ文明も、この縄文文明の伝統に刺激を与え、活性化する役割を果たしてきたが、結局のところ、縄文文明に取り込まれ、のみ込まれていったのだ。このように見るならば、日本文明は独自の文明であり、縄文文明こそが日本文明の基層であるといっても過言ではない。縄文文明こそが、日本の内なるフロンティアなのだ。(つづく)

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図6

図7

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その6に続く →

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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