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言霊量子論 その5

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

量子場脳理論、その1

今回の言霊量子論からは、しばらくの間、量子場脳理論についてのお話しをしてみたいと思います。まず、その第一回目として、今回は「A級棋士がコンピュータ将棋ソフトに敗れた日」をとりあげてみたいと思います。

一見すると、①コンピュータ将棋ソフトと、②量子場脳理論と、③言霊量子論とは関係性が薄いテーマに見えますが、実はこの3つのテーマは、「記憶」、「意識」、「こころ」 という、人間の最も本質的な領域と密接につながったテーマでもあるのです。

2014年4月12日、将棋界のトップ10人が所属するA級リーグ棋士である屋敷九段を筆頭に、現役の5人のプロ棋士が5種類のコンピュータ将棋ソフトと、それぞれ対戦しました。結果は、コンピュータ将棋ソフトの4勝1敗。人間の完敗でした。かつて大山永世名人は、コンピュータ将棋ソフトがプロ棋士に勝てるようになるには、百年かかっても難しいと断言していました。そのコンピュータ将棋ソフトが、なぜ、突然強くなったのか? 原因は明白でした。コンピュータの演算処理速度や記憶容量が「ムーアの法則」により指数関数的に進化したことにより、膨大なデータベースの構築と運用が容易に可能となったからでした。そして、あたかも突然変異のごとく「ボナンザ」というコンピュータ将棋ソフトが登場したのです。

開発者はカナダに在住していた、物理化学研究者の保木邦仁氏でした。保木邦仁氏は、それまでのコンピュータ将棋ソフトの開発者とはまったく異なるタイプの開発者でした。将棋についての専門知識が皆無といってもいい開発者でした。その開発者が採用したアルゴリズムが全幅探索と機械学習アルゴリズムでした。日本将棋連盟や将棋倶楽部24に蓄積されていた50万局の過去の棋譜の中から強い棋士の棋譜を6万局厳選し、その棋譜と同じような手を指す。つまり差し手を機械的に真似るプログラムを開発したのでした。

今までのコンピュータ将棋ソフトはゲームの戦略性を考慮して指し手を絞って読んでいくという選択的探索。いわば人間の思考性や直感に依拠するアルゴリズムでした。その意味において、「一手一手の指し手の最小単位を厳密に模式化した、判断無き網羅性」 ともいえる全幅探索アルゴリズムは泥臭いと思われていました。しかし、この2つの異なるソフトの対戦成績の結果は驚愕でした。「ボナンザ」は2006年世界コンピュータ選手権に、最新のワークステーションに実装することがあたりまえの中で、どこにでもあるごく普通のノートブック仕様で初出場し、初優勝という快挙を成し遂げたのでした。そして保木邦仁氏は、この「ボナンザ」のソースコードをネットに無償公開したのでした。このことがコンピュータ将棋ソフトの世界にブレークスルーをもたらしたのです。

以来、多くのコンピュータ将棋ソフトが「ボナンザ」のアルゴリズムを導入しました。全幅探索アルゴリズムが、選択的探索アルゴリズムを凌駕したのでした。まさにケアンズ・スミスが唱えた「遺伝的乗っ取り」と同じ現象が起きたのです。「ボナンザ」は人間のように準備段階で構想を描いて、それに沿って手を読んでいくのではなく、その場その場で発見した手を考えていくソフトです。しかし「ボナンザ」と対戦したプロ棋士は、「実際に指してみると明確な意志を持った一つの知性と対決しているような気になるから不思議だ」と言う。本質が異なるのです。

「場の量子論」の世界的な研究者であった梅沢博臣博士が1978年頃に発表された量子場脳理論においては、ニューロンの神経回路の中を行き交う電気的な信号や化学的な作用は本質的なものではなく、むしろ記憶や意識などの脳の高度な機能の本質は量子の世界にあると提唱されたのでした。次回は、この脳の高度な本質である量子の世界に迫ってみたいと思います。(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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