見出し画像

言霊よもやま話 Vol.7 六大伝説 〈猿蟹合戦〉─ 猿蟹合戦とバベルの塔の神話は、同じ物語だった

原典:『世界維新への進発』(小笠原孝次 著)
編集:新谷 喜輪子 / 監修:杉山 彰

猿が柿の種を持っていて、蟹のむすびと交換した。猿はむすびを食べてしまったが、蟹は種を蒔(ま)いて柿の木を育てた。猿を国津神猿田彦(くにつかみさるたひこ)と云う。猿の古代語はシラ(マシラ)であって知識(し)を顕わす手段、すなわち言葉である。猿(さる)を申(まをす)と書けば、また言葉である。柿の種は神気(かき)の種であって、これまた言葉の義である。但し、国津神の言葉は発生した儘(まま)の自由無秩序無法則のものであって、此処から蟹との葛藤が始まる。

蟹(かに)は神(か)に似(に)た動物である。アオウエイ、ワヲウエヰの(母音・半母音)を二本の手に、カサタナハマヤラの父韻を八本の脚にして布斗麻邇(ふとまに)に似ているから神似(かに)と云う。むすびは産霊(むすび)で、父母音を結んで子音を生む道が布斗麻邇である。猿は、折角(せっかく)、蟹から教わった産霊の原理を意味なく食べてしまったが、蟹は自分の姿である布斗麻邇に合わせて無秩序無法則の柿の種である世界の言葉を大切に育てて行った。

やがて見事に整理され合理化された柿の実が稔った。言葉即道理である言語である。其処へまた猿がやって来て、熟した柿の実を食べて、未熟な渋柿を投付けて蟹を殺してしまった。蟹が猿に殺される事は今日迄の人類の宿業である。「エホバ言たまひけるは、視(み)よ民は一つにして皆一つの言葉を用ふ。……去来(いざ)我等彼処(あそこ)にて彼等の言葉を乱し、互いに言語を通ずることを得ざらしめんと、エホバ遂に彼等を彼処より全地の表面に散じたまへり。

……是故に其名をバベル(乱)と呼ばる」(創世記十一章)

さるかに

布斗麻邇五十音図は魂を写す鑑(かがみ)である。五十音図の配列によって様々な人生観、世界観などの範疇を端的に示すことができる。五十音によって写し出される。


殺された蟹の子が歎(なげ)いている所へ蜂と玉子と臼とが来て敵討ちを約束した。蜂は「蜂の比礼(ひれ)」と云う古(神)代文字である。玉子は言霊摩尼宝珠(げんれいまにほうじゅ)、そして臼は言霊布斗麻邇(げんれいふとまに)を操作する法である。これを臼(うす)(=碓)女(め)(=宇受売(うずめ))と云う。言霊エ、イを以て言霊ア、オを動かして行く。その中軸がウ、ス(臼・宇受)である。以上の三つは蟹( 神似)そのものである布斗麻邇の更に精しい内容に外ならない。この蜂と玉子と臼が猿の住家(すみか)へ出かけて行って、猿を降参させて、今まで自分がやった事は悪かったと改悛して蟹にあやまらせた。この後再び猿の不完全な言葉が、その哲学や宗教が人類の言葉、即ロゴスを淆乱(みだ)す事がなくなった。

バベル

(つづく)


・・・・・・・・・・

【小笠原孝次(おがさわらこうじ)略歴】
1903年 東京都にて生誕。
1922年 東京商科大学(現在の一橋大学)にて、
吹田順助氏よりドイツ文学、ドイツ哲学を学ぶ。
1924年 一灯園の西田天香氏に師事し托鉢奉仕を学ぶ。
1932年 元海軍大佐、矢野祐太郎氏および矢野シン氏と共に
『神霊密書』(神霊正典)を編纂。
1933年 大本教の行者、西原敬昌氏の下、テレパシー、鎮魂の修業を行う。
1936年 陸軍少佐、山越明將氏が主催する秘密結社「明生会」の門下生となる。明治天皇、昭憲皇太后が宮中で研究していた「言霊学」について学ぶ。
1954年 「皇学研究所」を設立。
1961年 「日本開顕同盟」(発起人:葦津珍彦氏、岡本天明氏ほか)のメンバーとして活動。
1963年 「ヘブライ研究会」を設立。
1965年 「ヘブライ研究会」を「第三文明会」に発展。
1975年 「言霊学」の継承者となる七沢賢治(当時、大学院生)と出会う。
1981年 「布斗麻邇の法」を封印するため七沢賢治に「言霊神社」創設を命ずる。
七沢賢治との連盟で山梨県甲府市に「言霊神社」創設する。
1982年 79歳にて他界。

【著書】
『第三文明への通路』(第三文明会 1964年)
『無門関解義』(第三文明会 1967年)
『歎異抄講義』(第三文明会 1968年)
『言霊百神』(東洋館出版社 1969年)
『大祓祝詞講義』(第三文明会 1970年)
『世界維新への進発』(第三文明会 1975年)
『言霊精義』(第三文明会 1977年)
『言霊開眼』(第三文明会 1980年)



この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

この記事は素晴らしい!面白い!と感じましたら、サポートをいただけますと幸いです。いただいたサポートはParoleの活動費に充てさせていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。
20
ラボラトリオでは、人類の進化発展に寄与できる文章を作成し、それを“言霊”として実現できるレベルに高めてまいります。 そうした思考実験の過程をご紹介させて頂くと共に、言葉や思考を生み出す元となる“概念”がいかなるものか、これまでオープンにしてこなかった情報を含めて公開していきます。

こちらでもピックアップされています

言霊よもやま話
言霊よもやま話
  • 15本

言霊三部作(『言霊百神』『言霊精義』『言霊開眼』)を執筆した、わが国の言霊学第一人者である小笠原孝次先生の『世界維新の進発』がいま、エッセイ集『言霊よもやま話』として登場。