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言霊よもやま話 Vol.15〈独楽〉其の一

原典:『世界維新への進発』(小笠原孝次 著)
編集:新谷 喜輪子 / 監修:杉山 彰

生命意志の運動が既に「独楽」であることを、人類は直観によって、一万年の昔に発見していた

新年の行事の一つとして独楽を廻わす習慣が日本の民間に行われている。正月の行事は宮中、神社、民間を問わず、すべて言霊布斗麻邇の呪示であって、三千年間の天の岩戸隠れの時代はこうした方法で天照大御神の言霊布斗麻邇三種の神器の原理を黙示し伝承して来た。 

一日、三日、五日、七日、十一日、十五日、二十日に行われる正月の祭典はその日の数がそのまま布斗麻邇の数理である。床の蓬莱は伊邪那岐美二神の住む蓬莱の島の姿であって、鏡餅(百道(もち))、裏白(うらじろ)(岩戸隠れの貌)、海老(えび)(言霊エ)、昆布ほんだわら(藻葉(もは)・百葉(もは))、柿(神気(かき))、或は七草の鈴菜(鈴名)、鈴白(鈴代)、芹(せり)(選(せ)り)、薺(名網(なずな))、ごぎょう(五行)、繁縷(運(はこべ))、仏の座(五十音言霊図)など悉く言霊の呪物である。凧(いかのぼり)は五十神(いか)、追羽根は八音(はね)である。独楽もまたその一つであって、これを子供の遊戯とだけ考えていては神道の黙示の意義が釈けない。こまは凝廻(こま)の義である。 

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天文学のマクロの世界では大宇宙も太陽系もそして地球もいずれも巨大な独楽であり、物理学のミクロの世界の原素の構造も同じく微小な独楽である。およそ宇宙間動くものはその究極において独楽の構造と運動を具現している。生きて動くものである人間の生命も、その中核の精神構成において独楽である。 

五官感覚の悟性的把握である科学において、宇宙が独楽である事は最近の発見であるが、精神内面に活動する生命意志の運動が既に独楽であることを精神内面の直観によって人類は一万年の昔に発見していた。天津日継が知食(しろしめ)す古代精神文明は、この独楽の活用である。 

人類が経営する文明の様式と、その住む社会相がいかに変化しようとも、その文明経営の主体である人間そのものの機構と性能は何千年、何万年を経ても変化する事がない。その人間性能の根拠は肉体的には人間の生物学的な種(しゅ)に存し、精神的には法華経の言う種智(摩尼)に存する。種の根拠は細胞の性染色体に存し、種智とはその染色体の性能の自覚であるといえる。種と種智とは、唯一生命の両面に他ならぬ。これは人間が人間である限り、天壌無窮、万世一系に変化する事がない。もしこの種と種智とに変化が起るときは、それはもはや人間である事から逸脱した人間以上、もしくは以下の人間として取扱うことの出来ない何者かである。 

人間の霊魂、生命意志の活動が独楽であるとは、即ちその種智(摩尼・言霊)の構成と運行の様態が然りであることである。この生命の独楽は永劫の過去から無限の未来まで引続き同じ内容と同じ様相をもって回転して変化することがない。しかし生命意志の回転は、単なる物理的な回転の繰返しではない。それ自体変化せずして、常に新しい生命の実相を創造現出して行く活動である。この種智言霊の自己創造の歩みを「皇運」という。皇運とは即ち人類文明である。ダーウィンの進化論は、横の空間に拡がった生物世界を縦の時間の系列に並べ変えて見た観念の遊戯であって、科学小説のようなものである。彼は種智の意義を知らなかった。 

そこでこの人類の種智の様態が独楽であることを教えるために、その原理を忘れないために、忘れてもときが来れば思い出せるために、来る年毎に子供に独楽を廻させて伝えて来たのがこの日本の習慣としての正月の行事である。

(続く)

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【小笠原孝次(おがさわらこうじ)略歴】
1903年 東京都にて生誕。
1922年 東京商科大学(現在の一橋大学)にて、
吹田順助氏よりドイツ文学、ドイツ哲学を学ぶ。
1924年 一灯園の西田天香氏に師事し托鉢奉仕を学ぶ。
1932年 元海軍大佐、矢野祐太郎氏および矢野シン氏と共に
『神霊密書』(神霊正典)を編纂。
1933年 大本教の行者、西原敬昌氏の下、テレパシー、鎮魂の修業を行う。
1936年 陸軍少佐、山越明將氏が主催する秘密結社「明生会」の門下生となる。明治天皇、昭憲皇太后が宮中で研究していた「言霊学」について学ぶ。
1954年 「皇学研究所」を設立。
1961年 「日本開顕同盟」(発起人:葦津珍彦氏、岡本天明氏ほか)のメンバーとして活動。
1963年 「ヘブライ研究会」を設立。
1965年 「ヘブライ研究会」を「第三文明会」に発展。
1975年 「言霊学」の継承者となる七沢賢治(当時、大学院生)と出会う。
1981年 「布斗麻邇の法」を封印するため七沢賢治に「言霊神社」創設を命ずる。
七沢賢治との連盟で山梨県甲府市に「言霊神社」創設する。
1982年 79歳にて他界。

【著書】
『第三文明への通路』(第三文明会 1964年)
『無門関解義』(第三文明会 1967年)
『歎異抄講義』(第三文明会 1968年)
『言霊百神』(東洋館出版社 1969年)
『大祓祝詞講義』(第三文明会 1970年)
『世界維新への進発』(第三文明会 1975年)
『言霊精義』(第三文明会 1977年)
『言霊開眼』(第三文明会 1980年)


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言霊三部作(『言霊百神』『言霊精義』『言霊開眼』)を執筆した、わが国の言霊学第一人者である小笠原孝次先生の『世界維新の進発』がいま、エッセイ集『言霊よもやま話』として登場。