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構文の五階層による言霊のデザイン vol.03

監修:大野靖志 / 執筆:寺内輝治

構文の五階層はどのように作成するのか

言葉による自己と世界のデザインという点で、構文の五階層はポジティブ思考におけるアファメーション(願望実現のための肯定的な文言)にも似ています。

しかし、アファメーションは自らの願望にのみ焦点が当てられていて主観を離れることがなく、そこには階層性も統合性も存在しえません。つまり、構文の五階層とは似て非なるものなのです。

ここで例題として理不尽な理由で上司に叱られているという状況を取り上げます。

五階層構文

◎第1段階:「一人称構文」の作成
ここでは、自分の置かれている環境や体感から、自分がどのような心情を持っているのかを記述します。この例題の場合、以下のような内容になります。

「まじめに仕事をしているのに、叱られるなんて腹が立つ!」


◎第2段階:「他人称構文」の作成

ここでは、問題に関連している相手の心情を記述します。相手の気持ちが分からない場合は、想像でもかまいません。例題の場合、以下のような内容になります。

「上司は私の容姿が好きになれないという理由で、私に怒りを感じている」


◎第3段階:「複合一人称構文」の作成

このステップでは、「一人称構文」のところで記述した自分の心情について、どのような心情を抱くかということを記述します。ここで着目してほしいのは、これが「一人称構文」から一歩引いた(俯瞰した)視点による記述になるということです。この例題の場合、一例としては、以下のような文になるでしょう。

「上司から叱られることに腹が立っているが、そんな感情に振り回されるのもうんざりだ」

自分自身を客観視する視点が含まれていることが分かっていただけるでしょう。

本誌の監修者である七沢賢治氏は次のように解説しています。

「第1段階で『私』というものを定義し、第2段階で『他者』のことを定義し、その上で、第3段階では、自己と他者との間に生じる矛盾や葛藤、悩み苦しみなどをどう感じるかということを文章構文にしています。
そのような自他の問題は、『私』と『他者』が正しく定義づけられていないことで情緒の乱れが生じているということであり、構文を作ることでそれを理解していくのです。」

さて、ここまでの3段階で状況を整理することができたところで、次の段階へと進みます。

◎第4段階:「優先構文」の作成
ここは、「では、何をすべきか」を考える段階であり、問題となっている状況において、自分がどうあるべきかを記述します。
この例題の場合、次のような内容になるでしょう。

「不条理な理由で上司に叱られても、私は感情に振り回されないようにしよう」
「上司の愚かさに怒るのではなく、上司を哀れに思うぐらいの心の余裕を持ったほうがよい」

これは、第3段階における俯瞰した視点に基づいて、実際にどのように行動すべきかを考える段階です。それは結果的に、「自分が幸せになるにはどうすればいいのか、自己の矛盾と他者の矛盾とを超えて、本来あるべき自己に戻るにはどうすればいいのか」という問いに対する答えを模索することになります。

◎第5段階:「自在構文」の作成
ここでは、第1段階から第4段階での理解を踏まえたうえで、「人間とは何か、人生とは何か」という疑問に対する自分なりの理解を文章にします。
この例題でいえば、次のような文になるでしょう。

「人生において他者に振り回されて、自分を見失うことは愚かなことだ」「理不尽な理由で怒っていることが分かったのだから、そんなことで振り回されるのはもっと愚かなことだ」

これら5つの段階について、七沢賢治氏は次のように解説しています。

「この構文の五階層は私の五階層の考え方と関係しており、哲学の階層として表現することもできます。「一人称構文」「他人称構文」「複合一人称構文」は矛盾論であり、「優先構文」は実践論です。矛盾論から実践論に移行するこの部分が重要な転換点です。そして、最後の「自在構文」は存在論になります。
この一連の段階を通して、「私と他者」「私(わたくし)と公(おおやけ)」の問題を客観ししたときに、「人はどう生きるか」という存在論のところが明らかになります。」

いかがでしょうか。5段階に沿って思考を整理することにより、俯瞰した視点で状況を把握することができたと思います。

次回は、これらすべての段階を終えたところで、総仕上げとして、一連の構文をうまく組み合わせてひとつの文章にする方法についてお伝えします。


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【寺内輝治のプロフィール】
Parole編集員。
中学2年生まで友だちとラケットベースボールやパソコンゲームに熱中する元気な子どもだったが、ある日、教室で奇妙な白昼夢を見て以来、「何のために生きているのか」を自分に問うようになる。
大学時代、周囲と同じように就職活動をすることに強い抵抗を感じ、翻訳で生計を立てるべく専門学校で学ぶ。
しかし、一度社会で揉まれる必要性を感じ、セールスプロモーションの会社に就職。イベントや展示会の企画運営、印刷物やWEBサイトの制作などに10年間携わる。
ホメオパシーに出会い、その魅力に取り憑かれてホメオパシー関連の会社に就職。タマネギの皮がむけていくような内面の変化を体験する(周囲から変わったと指摘される)。
その後、フリーランスとしてデザインや翻訳などをこなすなかで、「何のために生きているのか」という問いが爆発しそうになっていたとき、七沢研究所と出会い、その答えを見いだす。
2018年に京都から甲府に引っ越し、心身ともに健やかな毎日を過ごしている。

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