オープンマインド・ヒューマンネットワーク論 その4
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オープンマインド・ヒューマンネットワーク論 その4

Parole

執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰

<電子>コミュニケーション
文字が電子に記号化されて、事実までもが記号化された。

<ことば>コミュニケーションから、<文字>コミュニケーション、さらにはここで述べようとしている<電子>コミュニケーションへの進化が、人間と人間のコミュニケーションをどのように変化させ、どのような事実を浮き彫りにしたのか? ほとんど絶望的な、デスコミュニケーションの現実を顕在化させようとしているのである。

<火が燃えている>事実を「ひ」という<ことば>の記号に置き換えて会話するようになった。これが<ことば>コミュニケーションの始まりである。次に「ひ」を「火」という文字の記号に置き換えて紙などに書いて連絡するようになった。これが文字コミュミケーションの始まりである。そして今度は、「火」を「01010101」という電子の記号に置き換えて、コンピュータ通信でやりとりするようになった。これがインターネットによる電子コミュニケーションの始まりである。パラメーターが3回変わったのである。

人間はパラメーターが1回変わることに対しては、ある種の倫理を決めなくてもなんとか対応できる生き物である。しかし、2回、3回と変わると現実に対する認識がきわめて希薄になり、その結果、倫理の乱れが生じる。再度、登場するが、クレジットカードがいい事例である。商品をお金というパラメータで置き換えているうちは大きな混乱は生じなかった。置き換えにあたって必要な倫理も誰にでも分かる簡単なもので、「お金を持っていなければ商品は買えない」であった。

ところが、クレジットカードの出現は、商品からお金、お金からクレジットカードへと、してはならない2回のパラメータをかけてしまった。しかも、そのときに決めた倫理は、「お金を持っていなくても商品は買える」であった。結果は、言うまでもない。クレジットカードによる自己破産の増加は、銀行をはじめノンバンクなどの経営の根幹さえも揺るがしかねない深刻な問題となりつつある。これは、クレジットカードだけに限らない。デビットカードやプリペードカードやポイントカードなども同じ現象を起こしつつある。突然、ここで倫理という文字が出てきたことに戸惑われるかもしれない。しかし、この倫理こそがコミュニケーションにおいて不可欠な概念なのである。

倫理とは、広辞林によれば、<社会における人と人との関係を定める規範・原理・規則であると>定義されている。物とお金、お金とクレジットカード。この関係は、物とお金とクレジットカードのコミュニケーションではなく、じつは人間と人間のコミュニケーションそのものである。なぜなら、物を<ことば>という記号で置き換え、その<ことば>を文字という記号に置き換え、その文字をお金という記号で置き換え、さらにお金をカードという数字データの記号に置き換え、そして、その数字データを、最終的には物である商品であるとしてパラメーターを解除。人間と人間のコミュニケーションとして認識させようとしたからである。しかも、明確な倫理を何一つ決めることなく、実施してしまったのだ。「お金を持っていなければ商品は買えない」という倫理に、「お金を持っていなくても商品は買える」という新しい倫理をプラスして、その挙げ句、「お金を払わないのは、倫理に外れる」という道徳を持ち出してきた。

道徳とは、同じく広辞林によると、<人の踏み行うべき正しい道>と定義されている。あたかも「お金を持っていなくても商品は買える」という先入観を植え付けることが、そもそも道徳に外れかねない行為であったにもかかわらず、最後の手段として道徳を持ち出してきた。混乱が起きない方が不思議である。さて、話を元に戻したい。現象を<ことば>へ、<ことば>を文字へ、そして文字を電子へと、コミュニケーションの種類が増え、その手段が進化したことによって人間は伝えたいとした事実を正確に、速く、大量に伝えることができるようになった。コミュニケーションの種類と手段が進化したのだから、人間と人間の関係は、オープンマインド・ヒューマンネットワークでいけるはずと信じた。しかし、現実は正反対であった。クローズドマインド・アンチヒューマンネットワークがかたちづくられようとしている。なぜだろう。(つづく)

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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】

◎立命館大学 産業社会学部卒
 1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
 以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
 1990年、株式会社 JCN研究所を設立
 1993年、株式会社CSK関連会社 
 日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
 マーケティング顧問契約を締結
 ※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
 1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
 コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
 2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。

◎〈作成論文&レポート〉
 ・「マトリックス・マネージメント」
 ・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
 ・「コンピュータの中の日本語」
 ・「新・遺伝的アルゴリズム論」
 ・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
 ・「人間と夢」 等

◎〈開発システム〉
 ・コンピュータにおける日本語処理機能としての
  カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
 ・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
 ・TAO時計装置

◎〈出願特許〉
 ・「カナ漢字自動置換システム」
 ・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
 ・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
   計測表示できるTAO時計装置」
 ・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
 ・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
 ・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等

◎〈取得特許〉
 「TAO時計装置」(米国特許)、
 「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等

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