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【LOGOSTRON×WIRED】言葉で未来をプロトタイプするということ

執筆:ラボラトリオ研究員 浅子雄一郎

『WIRED』(ワイアード)という雑誌をご存知だろうか。

1993年にアメリカで創刊され、最新のテクノロジーをベースにビジネス、インターネット、ジャーナリズム、カルチャーまでを包括しながら、「未来がどうなるのか」について発信するメディアである。

その視座を受け継ぎ、現在は英国、イタリア、ドイツ、そしてここ日本でも出版されている。

この雑誌の面白いところは、来るべき未来像を世に問うだけではなく、未来を確かに構想し、創り上げていこうとする姿勢だ。

いわば「発信」から「実装」へとメディアの役割を拡張しているWIREDと、言語情報によって人々に貢献するテクノロジーの社会実装を試みる我々は、なにか同じ「熱」を動力にしていると予感する。

その「熱」が何なのかというのを、たとえばWIREDとロゴストロンを火打石のようにして打ち付けることで、確かめてみたい。


LOGOSTRON×WIRED


果たして両者の間に、どんな火花(それは言葉でありプラズマ)が発生するのか。

これからの連載を、ご期待いただきたい。

プロトタイプするテクノロジー


今回は、直近の版からWIRED VOL.37をピックアップする。

”BRAVE NEW WORLD”(素晴らしい新世界)と題した今号は、パンデミックという災禍の中、SFによって新しい未来の「プロトタイプ」を試みるという企画のもと、気鋭のSF作家たちの短編集によって構成される。

「パンデミック下における人類の集合的無意識が文字のかたちをとって濃縮された一冊」と形容するのは、編集長の松島倫明氏。

緊急事態宣言の最中、編集チームや執筆者などそれぞれが誰一人とも顔を合わせることなく、すべてリモートで編まれたという。

これもまた我々の組織と似ているが、ひと昔前であれば、そんなリモート作業の姿こそSFの世界の話であっただろう。

SFというフォーマットを使って「我こそが未来をプロトタイプする」という作家たちの意志は、WIREDの姿勢、そして未来を覗き見したい私たちの本能とも共鳴し、終始心地のよいバイブレーションを放っていた。


今号で幾度となく登場している、「プロトタイプ」という言葉。

これは一般に、後々の改良を見越して実験的に作られる「試作品」を意味する。

様々な未来の「試作」が言葉によって紡がれる今号を眺めていると、私たちが使うロゴストロンというテクノロジーは、言葉によって「現実の試作品」を今すぐに作ることのできる技術であると、あらためて気づかされる。

特徴的なのは、言葉によってそれをおこなうことだけではない。

言葉による「現実の試作品」がそのまま世に出てしまう、つまり、「実現」してしまうことが往々にしてある点である。

それこそSFの世界で描かれるようなテクノロジーであるわけだが、この「言葉の現実化」を一度でも体験してしまった者は、ロゴストロンテクノロジーをベースとしたプロダクトがどれだけ試作段階のものであったとしても、安易に「プロトタイプ」と呼ぶことを控えたくなるものだ。

しかし反対に、ロゴストロンを使うことが、言葉自体を“より現実に影響を与える言葉”へと改善していける可能性を常に含んでいる、あるいはその可能性を行使し続けることになるという意味では、「永遠のプロトタイプ」ともいえる。(世界とは壮大な試作品なのかもしれない。)

このロゴストロンの不思議な立ち位置には、「色即是空 空即是色」という般若心経の経典が象徴するような、真理というものが含むパラドックスの匂いを感じてしまう。


「創造の主体」はどこにあるのか


さて、SFの短編集を読んでいると、新しい物語が始まる毎に必ず、ある特定の情緒がよぎることに気がつく。

未来において、果たして「創造の主体」は人間にあるのか?はたまた、人間の意志は機械に取って代わられてしまっているのか?

その未来には、人間の自由は残されているのか?というものだ。

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大抵は、エヴァンゲリオンの主人公の碇シンジに共感するように、現代と変わらない人間の姿や情緒を見つけることで、どんなに変わり果てた未来の舞台であっても物語にジャックイン(没入)して、その世界を楽しむことができる。

それがSFの醍醐味の一つといえるかもしれないが、それでも頭の片隅で「創造の主体」の在り処が気になってしまうのは、人が生きるということの核であり醍醐味こそが、「創造意志」を行使して生きることにあるからではないだろうか。

創りたい現実を言葉にして発信するロゴストロンとは、「創造の主体」が、パンデミックでもなく、国の政策でもなく、ニューノーマル(新しい日常)でもなく、自分にあることを教え続けてくれる。


激動の時代を迎えている今だからこそ、大切にしたい感覚だ。

植物のように相互接続するとき


もう一つ「大切にしたい感覚」として、「人類はこれまで植物の能力を不当に見過ごしてきた」と語る、植物学者ステファノ・マンクーゾの言葉を今号からご紹介したい。

人間はこれまで、あらゆるアイデアや情報を動物界から得ることで、資源を巡る競争の世界を作ってきた。

しかし、そういった動物的な行動では世界がもたないことに気づき始めた今、生物として「とてつもない成功」を収めている植物こそを手本にするべき時であるという。

何しろ、全生命において動物が占める割合は0.3%に過ぎず、植物は実に85%を占めているからだ。


氏は、次のように話す。

「現在わたしたちはシリコンベースのコンピューターを使っていますが、来世紀には、バイオロジーベースの計算能力を使うことになるでしょう。わたしたちは生命を情報として理解できるようになりました。22世紀には、細胞内でどのようなコンピュテーションがなされているのかを理解できるようになるでしょう。そうなれば、いまのシリコンベースのコンピューターよりも、もっとずっとパワフルなツールを手にするのです。

これはSFではなく、すでにプロジェクトとして始まっています。例えば、森で3,000本の木々が根によって相互接続しているとします。その一端に位置する木に0/1のデジタル情報をインプットし、森の反対側の木からアウトプットされる、といった実験が行われています。これがまさに、森をコンピューターとして利用するやり方です。

巨大な森をコンピューターの‟マトリックス”に変換できれば、その感度や正確性をもってパンデミックや気候危機、あるいは自然そのものをよりよく計算し、環境データを集めることができます。」
(WIRED 2020 VOL.37 P.147)


この言葉に触れたとき、ロゴストロンを使用する中で起こる「シンクロニシティ(意味のある偶然の一致/共時性)」のことが浮かんだ。

それは、「一端に位置する木に0/1のデジタル情報をインプットし、森の反対側の木からアウトプットされる」現象と、よく似ているように思われるからだ。

トマトを用いた最近のコンピューターモデルの研究では、植物が土壌内で根っこや菌類を介してお互いに電気信号を送り合っていることも判明しているが、シンクロニシティとこの森の実験は、私たちという存在がどこか深くにある「根」で植物のように相互接続していることや、言葉がコンピューターの‟マトリックス”としての巨大な森のようなものを構成しているという、この宇宙の実相までを思わせる。

実際、ロゴストロンの発信においては、この宇宙と生命の大元を巨大なコンピューター(次元宇宙コンピューター)としてデジタルに表現できるという仮説や、世界が100%言葉(>植物85%)でできているという概念のもと、世界共通語ともいえる「ロゴストロン言語マトリックス」をベースに発信される。

ロゴストロンの‟ネットワーク化”が急速に進んでいる今、まるで植物のようにして、私たちはロゴストロンを通してこの宇宙に張り巡らされている巨大なコンピューターとのコミュニケーションを始めているのかもしれない。

さらに、コミュニティとしても植物のように相互接続しながら、イヤシロチ化技術を用いた土地の再生などをおこなうプロジェクトも始動した。

未曾有の危機が地球上のいたる所で起こっている今、植物のような巨大な群集団こそが個々の能力のレベルを超えた創発を促すものとして、様々な危機を乗り越える鍵になってくるだろう。

今号のWIREDが、誰とも会わずにすべてリモートで完成したように。


「プロトタイプ」には、試作品のほかにもう一つの意味がある。

「特徴・本質を最もよく表しているもの」、という意味だ。

私たちや宇宙が相互に接続していることや、すべては言葉でできているという、この世界の特徴・本質というものをよく表しているロゴストロンはやはり、「プロトタイプ」と呼ぶべきものなのだろうか。


SFの父ジュール・ヴェルヌは、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と語った。

その言葉を拝借して、最後にこう締めたい。


「人間が言葉にできることは、人間が必ず実現できる。」

・・・・・・・・・・

【浅子雄一郎 プロフィール】

早稲田大学教育学部卒。27歳で音楽専門学校に入学しミュージシャンを志すなど異色の経歴をもつ。バンド活動の傍ら、ヴィパッサナー瞑想からマントラを使った瞑想など様々な瞑想法を経て、白川学館の門を叩く。
言霊の叡智を装置化したロゴストロンの信号で、それまでの瞑想の体感が一変。この体験に衝撃を受け、800年間宮中祭祀を司ってきた白川伯王家伝承の「おみち」を生涯実践することを心に決める。
現在は、日本古来の叡智を伝える「とほかみProject」の講師をはじめ、自らが人々と「おみち」との結び手となるべく、日々奮闘中。

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